センナ

英名

Senna

学名

Cassia angustifolia Vahl、C. acutifolia Delile

科目

マメ科

別名

チネンベリー・センナ、アレクサンドリア・センナ

原産地

アフリカ

利用部位

果実、小葉、葉柄、葉軸、茎

成分

1)~9)

 

■ sennoside類
   sennoside A, B, C, D, G

 

■ アントラキノン誘導体
   rhein
   aloe-emodin
   chrysophanol
  及びこれらの配糖体

 

■ その他
  naphthalene誘導体
   flavonol誘導体

花言葉

『輝かしい未来』

見ごろ

8~9月

 センナはアフリカ原産の常緑小低木で、高さ約1m、数本の茎を生じるが分枝は少なく、葉は互生、偶数羽状複葉で有柄、托葉がある。C. angustifolia Vahlはインド半島南端に近いTinnevelly地方で栽培が盛んであり、チンネベリー・センナと呼ばれている。小葉は4~10対、ひ針形で長さ2~3 cm、左右非相称で全緑。総状花序を頂生、径約2.5 cmの黄色花を付ける。さや果は楕円形で扁平、ややかま状に湾曲し、長さは4~7 cm。種子は暗褐色で8個できる。C. acutifolia Delileはナイル川流域に原生し、アレクサンドリア・センナと呼ばれ、チネンベリー・センナに類似するが、小葉は3~9対、卵状ひ針形長さ1.5~3.5 cm、花弁は淡黄色で赤色の脈がある。種子は6~7個である。

~天然の穏やかな緩下薬~

 

 センナは、最古の医学書である「エーペル・パピルス」にアロエなどとともに収載されている下剤であり、古くからアラビア医学で使用されていた生薬である。後にアラビアの医師によってインドに導入され、「穏やかな作用を示す便秘薬」として海外に広まっていった。現在では、欧米諸国で最も繁用されている植物のひとつである。日本には明治以降に西洋医学の薬物として導入された。日本薬局方には第一版から収載されている。
 センナは、大黄とともに瀉下成分であるセンノシド類を含んでおり、日本では専ら医薬品として使用されている。

以下の項目は、その植物の期待される効果を示すものです。

生理活性機能

■ 緩下作用
 センナのシロップや水抽出物は経口投与で緩下作用を示す10)11)12)。マウスを用いた実験で、sennoside Aは胃や小腸から吸収されることなく、そのままの形で作用部位の大腸に達し、腸内細菌の作用でrhein anthroneに代謝されて瀉下作用を示すことが明らかとなった13)。またrhein anthroneの作用発現にはPGE2の介在が示唆されている14)。sennoside A・Bをヒト又はイヌに経口投与すると、筋電図による観察で結腸のぜん動亢進が認められた15)

 

■ 抗菌作用
 センナ(C. angustifolia Vahl.)の葉部エタノールまたは水抽出物について、寒天拡散法により抗菌活性を評価したところ、大腸菌や黄色ブドウ球菌など試験に使用した6種全ての微生物に対し抗菌活性を示した16)

安全性

COMMISSION Eにapproved herbとして収載されている。
悪心、嘔吐、腹痛、下痢、仙痛が認められる12)17)
センナの果実、小葉、葉柄、葉軸は「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リストに分類され、食品として流通させることが禁止されている。茎は医薬品としての規制対象ではない。

引用文献・ 参考文献

1)Stoll A.,et al.,Helv. Chim. Acta32,1892 (1949)

2)Stoll A.,et al.,ibid.33, 313 (1950)

3)Schmid W. and Angliker E.,Helv. Chim. Acta48, 1911 (1965)

4)Lemili J. and Cuveele J.,Pharm. Acta Helv.40, 667 (1965)

5)Tanaka H. et al.,Chem. Pharm. Bull. , 30, 1550 (1982)

6)Lemili J.et al.,Planta Med., 43, 11 (1981)

7)Tutin F.,J. Chem. Soc.103 , 2006 (1913)

8)Borkowski B. et al.,Planta Med.,9, 251 (1961)

9)Crellin J. K.et al.,J. Pharm. Pharmacol ,13, 639 (1961)

10)Collier H. O. J. et al.,Quart. J. Pharm. Phar. Macol.,21, 252 (1948)

11)Hardcastle J. D. and Wilkins J. L.,Gut.,11 ,1038 (1970)

12)Miller L. C. and Alexander E. B.,J. Am. Pharm. Assoc.,38 ,417 (1949)

13)Sasaki K.et al.,Planta Med. ,37, 370 (1979)

14)Yagi T.et al.,J. Pharm. Pharmacol.,40, 27 (1988)

15)Staumont G.,et al.,Pharmacology.,36 (suppl. 1), 49 (1988)

16)Sood P.et al.,IJPSR.,3(10), 3815-3816 (2012)

17)Tauber O.,Deut. Apoth. Ztg.,1191023 (1979)