パンプキンシード

英名

Pumpkin seed

学名

Cucurbita pepo L.

科目

ウリ科

別名

ペポカボチャ、セイヨウカボチャ

原産地

北米

利用部位

完熟種子

成分

●脂肪酸
 linoleic acid
 linolenic acid
●その他
 stigmasterol
 cucurbitacin
 squalene
 tocopherol
 seren

図1 パンプキンシード含有成分

花言葉

『大きさ』『広大』

見ごろ

 カボチャ属はウリ科の一年草または多年草で、約20種が世界各地の温暖な地域で栽培されている。そのうち野菜として重要なのは数種である。日本で見られるカボチャには植物学上、セイヨウカボチャ、ニホンカボチャ、ペポカボチャの3種類があるが、薬用に使われるのはペポカボチャの一種、Cucurbita pepo L. convar. citrullina I. GREB. var. styriaca I. GREB. にほぼ限定されており、これは種子に殻がない特別の品種である。

~男女を問わず尿の悩みに~

 

 カボチャは野菜としてなじみが深く、世界中で栽培されている。その種子は栄養価が高く、食用にされる。中米~北米では、緩和な利尿剤、腎炎などの泌尿器疾患に、また初期の前立腺障害に膀胱の強壮剤としてすすめられた。また、種子を砕いてミルクとハチミツでこねたものは安全な駆虫薬として、女性や子供に使用されたこともある。
 現在ヨーロッパでは、種子の油性の抽出物が女性・男性ともに、泌尿器系の悩みに用いられている。COMMISSION Eにおいてもその効果が認められており、過敏膀胱や初期の前立腺肥大症の治療目的に医薬品として販売されている。ただし薬用に認められているのは、日本でよく見かけるニホンカボチャとは種類が異なり、特別の品種のカボチャである。

以下の項目は、その植物の期待される効果を示すものです。

作用

  • ●利尿作用
  • ●抗炎症作用
  • ●過敏膀胱・前立腺肥大症の改善
  • ●尿道括約筋の正常化

生理活性機能

 豊富に含まれる植物ステロールと脂肪酸が何らかの形で性ホルモンに関与していること、また、トコフェロールや微量元素セレンによる抗酸化作用、抗老化作用の関与が推察されている。

臨床試験

〇 夜間頻尿の改善1) 2)
 夜間頻尿 (起床時を含めず夜2回以上トイレに起きる) の症状をもつ閉経後の女性 (52~86歳) 42人を対象に、カボチャ種子エキス配合植物製剤を6週間摂取した。その結果、夜間トイレに起きた回数が一日3.3回から2.0回に減少した。
 また、夜間の排尿回数が1~2回ないしはそれ以上の男女 (60~75歳) 25人を対象に、カボチャ種子エキスを3週間摂取した結果、夜間トイレに起きた回数が一日2.23回から1.30回に減少した。

 

〇 尿失禁改善3)
 腹圧性失禁 (核やくしゃみなどにより失禁する) の症状を有する女性50人を対象として、カボチャ種子エキス配合植物製剤を6週間摂取したところ、尿失禁の回数が一日平均2.08回から0.67回に減少した。

 

〇 過敏膀胱の改善4) 5)
 過敏膀胱と尿失禁を患う女性767人、男性148人の患者に対してカボチャ種子配合の植物製剤を6週間摂取する大規膜な臨床試験が行われている。この結果、男女ともに、尿失禁、頻尿、核やストレス時の尿失禁、下腹部の痛みなどが改善されたことが示された (図2、図3)。
 また、過敏膀胱を患う男女 (41~80歳) 45人を対象に、カボチャ種子オイルエキスを12週間摂取したところ、過活動膀胱症状スコアの改善(38.6%減少)がみられた。

図2 頻尿と女性患者(左)、頻尿と男性患者(右)

図3 尿失禁と女性患者(左)、尿失禁と男性患者(右)

● 前立腺肥大症の改善6) 7)
 複数の施設にまたがる2245人の軽度の前立腺肥大症患者を対象とする大規膜な臨床試験が報告されている。12週間、カボチャ種子抽出物を摂取した結果、前立腺の症状スコアは41.4%減少し、ライフクオリティーインデックス (生活の質スコア) は46.1%の患者で増加するなどの改善がみられた。
 前立腺肥大症患者 1431人 (50~80歳) を対象に、12ヶ月間、カボチャ種子またはカボチャ種子エキスを摂取した。その結果、前立腺の症状スコアは、カボチャ種子またはカボチャ種子エキスの摂取により、それぞれ33.8%、26.2%減少し、いずれも症状が改善した。さらに、クオリティオブライフ (QOL) のスコアは、カボチャ種子またはカボチャ種子エキスの摂取により、それぞれ36.0%、33.4%上昇し、改善がみられた。

安全性

COMMISSION E:approved herbとして収載されている。
副作用は記載されていない。

引用文献・ 参考文献

1)曽我部仁, 寺戸隆,医学と薬学, 46: 727-738, (2001)

2)斉藤絵里ほか,日本食品科学工学会誌, 58(9): 454-459, (2011)

3)柳沢瑛, 佐藤泉,医学と薬学, 50: 313-322, (2003)

4)H. LENAU et al.,THERAPIEWOCHE34: 6054, (1984)

5)M. NISHIMURA et al.,Journal of Traditional and Complementary Medicine4(1): 72-74 (2014)

6)G. SCHIBEL-SCHLOSSER et al.,Zeitschrift fur Phytotherapie19: 71 (1998)

7)W. VAHLENSIECK et al.,Urologia Internationalis94: 286-295 (2015)