四季折々の植物を五感で楽しめる 自然豊かなハーブ園

ピーナツ

英名

Peanut

学名

Arachis hypogaea L.

科目

マメ科

別名

落花生、ナンキンマメ

原産地

ブラジル・ペルーなど

利用部位

種子、種皮

成分

■プロアントシアニジン2)
 proanthocyanidin A-1
 proanthocyanidin A-2
 epicatechin-(4β-8;2β-O-7)-ent-epicatechin
 epicatechin-(4β-6;2β-O-7)-catechin
 epicatechin-(4β-6;2β-O-7)-ent-catechin
 epicatechin-(4β-6;2β-O-7)-ent-epicatechin

■フラボノイド類
 luteolin
 rutin
 isorhamnetin
 quercetin

図1 ピーナツ含有成分

花言葉

『仲良し』

見ごろ

7月(開花)、9~11月(収穫)

 ピーナツは1年草の一種である。茎は根もとで分枝し、地面を這うように広がって長さ60cmにも達する。枝が長く、その先には4枚の小葉が羽状につく。その小葉は倒卵形か楕円形で先が小さくとがっているのが特徴である。夏から秋にかけては、葉のつけ根に黄色い蝶形花をつけ、子房は受精後、下に向かって長柄状に伸び、地中にもぐりこんで豆果を実らせる。ちなみに、種名にある「hypogaea」はギリシャ語で「地下の」という意味であり、また、和名の「落花生」も豆果が地中で実るという性質に由来する。豆果は1さやにつき1〜5粒含まれるが、通常1さやにつき2粒のものが多い。

~ポリフェノールの衣をまとったナッツ~

 

 ピーナツ(学名: Arachis hypogaea L.) は、マメ科ナンキンマメ属の一年生草本の実で、世界的にも重要なタンパク食料、油脂原料でもある。現在、豆類の中では大豆についで生産量が多く、南米では3000年もの長い栽培の歴史がある。原産地はブラジル、ペルーであり、原住民から南米全土、メキシコ、西インド諸島などに伝えられた。日本には江戸時代に中国から伝わったといわれており、このことからナンキンマメとも呼ばれている。明治7年に日本政府がアメリカより種子を輸入して、各地に配布したことから、全国での栽培が始まった。
 「皮ごと食べると体に良い」と言われる野菜や果物は多いが、それは一般に、果実や種を覆っている部分に数多くの生理活性成分が含まれているからである。ピーナツの種皮にも各種ポリフェノールをはじめとした多くの生理活性成分が含まれており、近年の健康に対する人々の関心の高まりもあいまって注目を集めている。

以下の項目は、その植物の期待される効果を示すものです。

作用

  • ●抗アレルギー活性(ヒアルロニダーゼ阻害活性ほか)
  • ●抗酸化作用
  • ●抗HIV作用
  • ●糖分解酵素の阻害活性
  • ●利尿作用
  • ●止血作用

生理活性機能

● 抗アレルギー活性3),4),5),6)
 I型アレルギーである花粉症・アトピー・蕁麻疹などでは、主に肥満細胞表面上のIgE抗体に抗原が結合することで、細胞膜酵素群の活性化がうながされ、結果的に細胞内の特異顆粒(ヒスタミンなどの炎症誘起物質)が放出される(脱顆粒化)。この脱顆粒化の過程には、ヒアルロン酸分解酵素ヒアルロニダーゼが深く関わることが知られている。具体的には、ヒアルロニダーゼはヒスタミンと同時に肥満細胞から遊離し、結合組織に広く分布するヒアルロン酸を加水分解することで、より重度の炎症を引き起こす。以上から、ヒアルロニダーゼの働きを抑えることにより、I型アレルギー反応の軽減が期待される。当社における研究の結果、ピーナツ種皮抽出物は強いヒアルロニダーゼ阻害活性を持つことが明らかとなった3, 4, 5)。さらにピーナツ種皮抽出物中の生理活性物質を探索したところ、新規化合物3種を含む 6種のプロアントシアニジンが単離され、これら化合物のいずれにもヒアルロニダーゼ阻害活性が認められた(表1)。

表1 ヒアルロニダーゼ阻害活性

 また、近年、ラット好塩基球性白血病細胞RBL-2H3を用いた実験から、ピーナツ種皮抽出物由来のプロアントシアニジンA1が細胞の抗原感作による脱顆粒を阻害することが明らかとなった6)。さらに、これはプロアントシアニジンA1がプロテインキナーゼCの活性化もしくは細胞内のCa2+の放出の下流で、顆粒の分泌のためのシグナル伝達を阻害しているためであることが示唆された。また、プロアントシアニジンA1がNF-κB回路の活性化を阻害することを示唆する結果も得られた。以上から、ピーナツ自体が代表的なアレルギーを誘発する食物であるものの、プロアントシアニジンA1をはじめとするポリフェノール類を含むピーナツ種皮抽出物には、アレルギー性疾患に対する治療食としての可能性も期待されている。

● 抗酸化活性5),7),8)
 ピーナツ種皮抽出物に含まれるポリフェノールについて、キサンチン(XT)-キサンチンオキシダーゼ(XOD)系を用いた活性酸素消去活性を測定したところ、t-ブチルヒドロキシアニソール(t-BHA)と比較して10倍以上の活性を示した5)。さらに、フェノキシラジカル捕捉活性についても測定したところ、緑茶に含まれるepigallocatechin gallateやt-BHA とほぼ同等の活性を示した。
 また、ピーナツ種皮抽出物に含まれるフェノール類含有量および抗酸化活性は、その抽出法と抽出溶媒に強く影響を受け、その抽出物にはフェノール酸、フラボノイド、スチルベンの3種のフェノール類が含まれていることが分かっている。水およびエタノール抽出物に含まれる総フェノール類の酸素ラジカル吸収能 (Radical Absorbance Capacity, ORAC;活性酸素消去能) の測定結果から、ピーナツ種皮抽出物は緑茶抽出物に比べて約2倍の抗酸化活性を持つという報告もなされている7)
 また、別の報告によれば、ピーナツ種皮抽出物に含まれる抗酸化物質の活性は、動物性および植物性油脂中では際立って高いわけではないものの、非常に反応性が高いフリーラジカルの消去剤および金属のキレート剤としての高い活性を持つことが分かっている。このことは、ピーナツ種皮抽出物が、水や遊離金属イオンを含むような食品を自然酸化させないように安定化させるのに効果がある可能性を示している8)

● 抗HIV活性5)
 ピーナツ種皮抽出物ならびにブロアントシアニジン類は 、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-1)のMT-4細胞内における増殖を抑制した。この作用は抗HIV薬であるazidothymidineやデキストラン硫酸よりは弱い活性ではあったものの、細胞毒性が低く、効果的な抗HIV活性を示した(表2)。

表2 ピーナツ種皮含有成分の抗HIV活性

● 巨核球分化増殖活性および血小板数増加作用5),9)
 末梢血液の血小板は、骨髄に存在する巨核球の細胞質が断片化(分化)する事により生成される。ピーナツ種皮抽出物添加群と未添加群においてマウス骨髄細胞培養系による巨核球分化増殖活性を測定したところ、ピーナツ種皮抽出物添加群では、未添加群に比べ約1.5倍の活性の上昇がみられた。
 ピーナツ種皮抽出物のin vivoでの作用を確かめるために、マウスに5日間連続でピーナツ種皮抽出物を皮下投与し、血中の血小板数の変化を見た。その結果、ピーナツ種皮抽出物投与後 4~9日間に渡り対照群に比べ約1.6倍血中の血小板数が増加した(図2)。ピーナツ種皮抽出物を経口投与した場合も、皮下投与時同様に6~10日間に渡り対照群に比べ1.4~1.5倍の血中血小板数の増加が見られた。以上の結果より、中国で古くから伝えられてきたピーナツ種皮抽出物の止血作用は、巨核球の分化を促進することによるものであると考えられる。

図2 ピーナツ種皮エキスの血小板数増加作用
ICR マウス(7week old,male)に5日間、4mgのピーナツ抽出液()を皮下注射した後、
経日的に尾静脈より血小板数の変化を測定した。は対照、n=5

 また、ピーナツ種皮抽出物に対して、ヒトCD34+細胞から高純度で巨核球を分化誘導し、成熟した巨核球より、胞体突起形成、さらに血小板形成に至る文化系を用いて、血小板産生を促進する活性成分の同定、精製系の確立、構造決定を行った。さらに、この化合物および化学誘導体の合成を行い、血小板形成促進作用を持つ新規合成化合物の発見も行った。ピーナツ種子抽出物から得られた血小板産生促進物質はほかの植物や動物、微生物にも存在することも分かった。これらのことから、単離・同定された化合物および合成化合物を用いることで、巨核球胞体突起形成、血小板形成を促進させる食品、医薬品の開発の可能性が期待される。(特許取得;WO 2008078453 A1)

● ピーナツ種皮抽出物の糖分解酵素の阻害活性10),11)
 近年、ピーナツ種皮抽出物から新規のものを含む9つのポリフェノールが単離、精製された10)。これらはすべて強い抗酸化作用を示したほか、いくつかのポリフェノールは消化管における二糖分解酵素(マルターゼやスクラーゼ)に対して強い阻害活性を持つことが明らかとなった。中でも、2種類の三量体化したA型プロアントシアニジンは特に強い二糖分解酵素阻害活性を示した。また、最近、同じくオリゴマー化したA型プロアントシアニジンからなるポリフェノールは強いα-アミラーゼ阻害活性を持ち、血糖値の増加を抑制するはたらきがあることも報告されている11)。ここで、マルターゼは二糖であるマルトースの加水分解を触媒して二個のグルコースを産生する酵素、スクラーゼは同じく二糖であるスクロース(ショ糖)をグルコースとフルクトースに加水分解する反応を触媒する酵素、アミラーゼは米などに含まれるデンプンのグリコシド結合を加水分解することで、デンプン中のアミロースやアミロペクチンを、単糖であるグルコースや二糖であるマルトースおよびオリゴ糖に変換させるはたらきを持つ酵素である。二糖やデンプンの吸収のためにはこれらを効率的に分解することが必要であるが、ピーナツ種皮抽出物は、さまざまな糖分解酵素の活性を阻害することで、結果的に糖質の吸収を遅延させる働き(ダイエット効果)を持つことが期待される。

安全性

アレルギー反応などを起こす場合がある。

推奨量
 種皮1日10g相当 1)

引用文献・ 参考文献

1)中薬大辞典.,上海科学技術出版社編, 2648 (1990)

2)Hongxiang Lou.,Syuichi Oka. et al.,Phytochenmistry, 51, 297 (1999)

3)岡 修一 ら,日本農芸化学大会 1999年度大会, 2, 127 (1999)

4)岡 修一 ら,第15回和漢医薬学会, (1998)

5)岡 修一 ら,和漢医薬学雑誌, 15, 444 (1998)

6)Tomochika K.et al.,Bioscience,Biotechnology,and Biochemistry75(9), 1644-1648(2011)

7)Jianmei Yu.et al.,Food Chemistry.90(1) , 199-206 (2005)

8)Van Ha . et al.,Journal of Food Lipids,14(3), 298-314 (2007)

9)東京医科歯科大学. 佐藤孝浩,血小板産生促進因子及びその利用 ,WO 2008078453 A1, 2010-4-15

10)Huiwen Zhang. et al.,J. Agric. Food Chem.,61(37), pp 8814-8820 (2013)

11)Takahiro Tsujita. et al.,Food Chemistry.,Volume 151, 15 Pages 15–20 (2014)