ショウガ

英名

Ginger

学名

Zingiber officinale Rosc.

科目

ショウガ科

別名

生姜(ショウキョウ)

原産地

熱帯アジア

利用部位

根茎

成分

●セスキテルペン

zingiberenol
zingiberol
zingerone
ar-curcumene
β-sesquiphellandrene
β-sesquiphellandrol
bisabolene
zingiberene

●オレオレジン成分
gingerol
shogaol

●脂肪酸
palmitic acid
oleic acid
linolenic acid
linoleic acid

図1 ショウガ中のセスキテルペン類及びオレオレジン成分

花言葉

『豊かな心』『慕われる愛』『あなたを信頼します』

見ごろ

9~11月

 原産地は熱帯アジア(インドからマレー半島付近)であるが、世界の熱帯から温帯地域の保湿性の優れた砂壌土、壌土で広く栽培されている。ショウガ自体は単子葉植物で、地下に肥大した根を持ち、高さが30~50 cmぐらいに成長する多年生の植物である。花をもっているが、熱帯や亜熱帯地域では開花するが、日本ではほとんど開花しない。

~料理の友は健康の隠し味~

 

 ショウガの学名 Zingiberはサンスクリット語sringavera(=角形の)に、officinaleは(=薬用の、薬効のある)という意味に由来している。
 薬用部位は根茎であるが、中国では新鮮な根茎を「生姜」、乾燥根茎を「乾姜」と呼ぶ。生姜は嘔吐抑制、鎮咳、解毒及び消化器系の機能亢進などに、乾姜は腹痛、胃痛、消化管内の停滞の改善目的にと区別して使われている。
 食用としても使われ、酢に漬けたり、甘酢漬けにして寿司に添えたり、におい取りや香り付け、ショウガをおろしたものを天つゆにいれたり、澄まし汁の吸い口として1滴垂らしたりといろいろな料理に欠かせない。
 現在でも、食用のほか、風邪薬、健胃消化薬、鎮吐薬、鎮痛薬としての漢方方剤に配合されている。

以下の項目は、その植物の期待される効果を示すものです。

作用

  • ●鎮静作用
  • ●殺菌作用
  • ●嘔吐抑制作用
  • ●血行促進作用
  • ●強心作用
  • ●抗炎症作用
  • ●健胃作用
  • ●抗潰瘍作用

生理活性機能

● 抗潰瘍活性 3)
 ラットの塩酸/エタノール誘導による胃潰瘍生成モデルを用いて、ショウガ中のセスキテルペン類及び 6-shogaol の抗潰瘍作用を確かめた(表1)。この結果より、β-sesquiphellandrene 及び β-bisabolene 及び ar-curcumene は 100mg/kg 経口投与でそれぞれ61.1%、57.3%、44.5%潰瘍の生成を阻害し、また、6-shogao は 6-gingerol よりも強い活性を示した。

表1 セスキテルペン類の抗潰瘍作用

● 抗アレルギー作用 4)
 ラット受身アナフィラキシー(PCA)反応による、ショウガの抗アレルギー活性を検討した。その結果、乾燥根茎抽出物は抑制反応を示したが、新鮮根茎抽出物は有意な効果は見られなかったことから、乾燥による成分変化により生じた物質が抗アレルギー作用をもつと推測した(表2)。

表2 乾燥根茎抽出物及び新鮮根茎抽出物の48時間PCA反応抑制効果

 さらに、ラット肥満細胞を用いてヒスタミン遊離誘発剤であるcompound48/80及びA23187刺激によるヒスタミン遊離抑制作用について検討した結果、6-shogaolなどに強い活性がみられた(表3)。
 次にラット48h-PCA反応に対する効果も検討したところ、6-shogaolは25~100mg/kg(p.o.)の範囲で用量依存的に抑制した(表4)。

表3 compound48/80及びA23187刺激によるヒスタミン遊離抑制作用

表4 ラット48時間PCA反応に対する抑制効果

臨床試験

○ 抗炎症作用
 7人の女性に毎日5gのショウガを数日間投与し、血液中の炎症誘発因子であるトロンボキサンB2(TXB2)の濃度を比較したところ、摂取前に比べ約37%減少した(表5)5)

表5 ショウガ投与前後の血清中TXB2濃度変化

○ 関節炎緩和作用
 慢性的な変形関節炎患者110人を対象にした二重盲検を行った。偽薬投与群と比較してショウガ抽出物投与群ではひざの痛みが緩和された6)
 29人の患者を対象として行われた試験では、偽薬投与群と比較して、ショウガ抽出物投与群において、運動による痛み、ひざの痛みなどが緩和された7)

○ 妊婦の悪心および嘔吐軽減作用
 妊娠16週未満の軽度から中等度の悪心または嘔吐の症状がある妊婦106人を対象とし、その内37人にショウガ250㎎のカプセルを4日間投与した。その結果、投与前と比較して嘔吐および吐き気が51%および46%軽減し、プラセボ群、対照群と比べてその割合が最も多くなった8)。(表6)

表6 試験群のRhodes Indexスコアによる割合の減少

安全性

COMMISSION E:approved herbとして収載されている。
胆石を持つ人は医師に相談する。
妊娠中つわりのひどいときは避ける。
副作用は低いとされる。
LD50(ラット)…5 g/kg以上(経口)
   (マウス)…5 g/kg以上(皮下注)2)

流通品規格
 volatile oil 又は gingerol の含量の規定が設けられる 1)

推奨量
 根茎 1日2~4 g相当(COMMISSION E)

引用文献・ 参考文献

1)Elke L., et al.,Advances in Therapy15, 25. (1998)

2)Opdyke D.L.J.Food Cosmet.Toxicol12, 901 (1974)

3)Yamahara J. et al.,薬学雑誌112, 645 (1992)

4)Yamahara J. et al.,Natural Medicines49, 76 (1995)

5)Srivastava K.C. et al.,Prostaglandins Leukot.Essent.Fatty Acids , 35, 183 (1989)

6)Altman R.D.,et al.,Arthritis Rheum., 44, 2531 (2001)

7)Wigler I., et al.,Osteoarthritis Cartilage11 , 783 (2003)

8)Farzaneh S. et al.,Nurs Midwifery Stud,3(1) :e11841 (2014)