四季折々の植物を五感で楽しめる 自然豊かなハーブ園

イブニングプリムローズ

英名

Evening primrose

学名

Oenothera biennis L.

科目

アカバナ科

別名

メマツヨイグサ、月見草、Evening star

原産地

北米

利用部位

種子

成分

■脂肪酸
linoleic acid
γ- linoleic acid(GLA)
palmitic acid
stearic acid
oleic acid

■ポリフェノール
catechin
ellagic acid
pentagalloylglucose
proanthocyanidines

花言葉

『無言の愛情』『湯上りの美人』『移り気』『ほのかな恋』『うつろな愛』

見ごろ

5~9月

 直立性、二年草(越年性)。寒さに強く、砂地等、乾いた日当たりの良い場所に繁殖する。やせた土壌でも非常に良く育つ。草丈は小さいもので22~30cm、大きいものでは30~150cmにもなる。開花は夏で、夕方頃から黄色い芳香性のある4弁の花を咲かせ、朝にはしぼむ。Oenothera属は非常に分化しやすく分類の難しい植物で、メマツヨイグサに似た植物として、日本にはマツヨイグサ、アレチマツヨイグサ等20種近くが栽培されたり帰化している。
 日本産は薬用に使われることはほとんど無く、専ら観賞用である。

~皮膚疾患や炎症の改善に効果的なハーブ~

 

 イブニングプリムローズの花は「Evening primrose、夕方のサクラ草」という名の通り、夕方~宵のうちにかけて桜草に似た黄色の花を咲かせ、朝にはしぼんでしまう。薬用として利用されるのは、そのほとんどが種子である。種子から得られる油脂はイブニングプリムローズオイル(EPO)、我が国では月見草油と呼ばれ、皮膚によい油脂として既に浸透している。
 中に含まれるγ-リノレン酸は生体、特に皮膚の健康に必要な成分であるが、体内合成ができないため、食物等や母乳から摂取する必要がある。EPOは皮膚炎、湿疹に有効であるが、ひどくなる前あるいは幼少の頃の気長な摂取(3~4ヶ月以上)がより効果的で、即効性を持つものではない。近年、小児性皮膚疾患(湿疹)や様々なアレルギー症状が以前に比べ増えているといわれるが、授乳量の減少から起こるγ-リノレン酸供給量の低下や食物からの摂取量の低下、良質の不飽和脂肪酸の不足が原因と考えられている。種子中にはその他に血液凝固阻害物質が含まれているとされる。
 このほかに植物の様々な部分が食用となり、若い根は酢漬けにしたり煮たりして食欲増進のために用いる。アメリカ先住民ブラックフット族は食料として葉や茎をゆでて食べたり、根を乾燥させ保存食とした。
 日本には明治の中~後期に渡来し、各地に広く繁殖した。伝承的な利用法としては、根、葉、茎を蜂蜜で煮て作る咳止めシロップやアメリカインディアンの間で使われ続けている打ち身改善のための湿布などがある。

以下の項目は、その植物の期待される効果を示すものです。

生理活性機能

● 抗酸化作用
 生体内での抗酸化作用が試験されている。
 ウサギを用いて、高コレステロール食(コレステロール1.33%含有)またはそれに月見草油を15%添加した食餌を6週間与えた結果、後者では血清中の過酸化脂質が有意に少なかった1)

 

● コレステロール低下作用
 月見草油絞りかすの抽出エキスにコレステロール低下作用が確認されている。
 ラットを用いて、高コレステロール食(コレステロール1%含有)またはそれに月見草油絞りかすの抽出エキスを0.5%、1%添加した食餌を4週間与えた結果、月見草油絞りかす抽出エキス添加群では血清中LDLが有意に少なかった2)

臨床試験

〇 小児性皮膚疾患(湿疹)の改善
 2~4歳のアトピー性皮膚炎の子供24人を12人のEPOカプセル摂取グループと12人のオリーブオイルカプセル摂取グループに分け、それぞれを1日6カプセルずつ4週間服用させた。服用前後で医者が診断に基づき重症度の判定を行った。この結果、EPOカプセル摂取グループにおいて明らかな症状の改善がみられた3)

〇 アトピー性湿疹の改善
  6ヶ月以上アトピーに悩まされている人に対し、45mgのγ-リノレン酸(γ- linoleic acid)を含有するEPO製剤を1日二回4錠ずつ3週間投与(児童は半量)し、その後偽薬(EPOなし)を3週間投与した。投与前、はじめの3週間経過後、次の3週間後の計3回、湿疹の重症度を本人(又は親)の判断と医師の診断により評価した。
 この結果、 本人、医師いずれの場合もかなりアトピー症状が軽くなったと評価した。 EPOを服用することで多くの患者で有意な改善がみられた。また、特に副作用に関する報告はなかった4)
 アトピー性皮膚炎患者ではγ-インターフェロンの量が少なくなるが、EPOの摂取によって正常値に近くなるという報告がある5)

 

〇 糖尿病患者に対する効果
  22人の糖尿病性神経障害患者のうち、12人に対しEPO製剤(0.5g)を1日二回4錠ずつ(一日量にして360mgのγ-linoleic acid)、10人に対し偽薬を同じ量ずつ、6ヶ月間投与した。その結果、神経障害症状である痛みや接触に対する反応性、熱や冷たさに対する感受性がEPO摂取により改善された6)
 7つの病院で軽度の糖尿病患者に対して6gのEPOを含む製剤と偽薬を投与したところ、糖尿病患者にみられる体調不良や手足のしびれやその他症状がEPO摂取患者において改善した 。また血糖値の異常な低下は観察されず、正常範囲であった7)

 

〇 リウマチ性関節炎患者に対する効果
  リウマチ性関節炎患者に対し、EPO製剤、又は偽薬を12ヶ月投与する試験が行われた。この結果EPO製剤投与群の94%が主観的に改善を感じた。副作用に軽い吐き気や頭痛の例がわずかに見られた8)

 

〇 女性のPMSおよび周期的な胸部の痛みの改善
  EPOは女性のPMS(月経前症候群)の改善効果が期待され、試験が行われている9)。4~6ヶ月の試験でPMSの自覚症状の緩和がみられた。

安全性

 高品質のEPOはほとんど副作用がないといわれるが、長い間EPOを使い続けた人のうち2%以下の率で若干の胃部不快感、頭痛が起きたと報告がある。

引用文献・ 参考文献

1)J.P. De La Cruz et al.,Life Sciences65, 543-555 (1999)

2)Bozena B. et al.,Food Chemistry4, 453-459 (1998)

3)Bordoni A. et al.,Drugs Exptl. Clin. Res. X IV(4), 291-297 (1987)

4)C.R.Lovell et al.,The Lancet , January , 31 (1981)

5)Sungpil Yoon et al.,Skin Pharmacol Appl Skin Physiol15, 20-25 (2002)

6)G.A.Jamal et al.,Diabetic Medicine , 7, 319-323 (1990)

7)Keen H. et al.,Diabetes Care 16, 8-15, (1993)

8)J.J.F.Belch et al.,Annals of the Rheumatic Disease , 47, 96-104 (1988)

9)McFayden IJ. et al.,Brit J Clinical Practice, 46, 161-164 (1992)
10)De La Cruz J. P. et al.,Life Sci., 65, 543 (1999)