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エキナケア

英名

Echinacea

学名

Echinacea purpurea (L.) Moench, E. angustifolia DC., E. pallida (Nutt.) Nutt.

科目

キク科

別名

Purple cone flower、ムラサキバレンギク、エキナセア、エキナシア

原産地

北アメリカ

利用部位

開花時の地上部(E. purpurea)、根(E. angustifoliaE. pallida

成分

■多糖5)6)
 fucogalactoxyloglucans(MW 10,000, 25,000)
 acidic arabinogalactan(MW 75,000)
 4-O-methylglucuronoarabino-xylan(MW 35,000)

■カフェ酸誘導体
 echinacoside
 chicoric acid
 cynarin

■アルキルアミド
 echinacein
 echinolone

■その他
 精油
 イヌリン
 ベタイン
 アルカロイド

 このうちチコリック酸(chicoric acid)はE. purpureaに、エキナコサイド(echinacoside)はE. angustifoliaE. pallidaに特有の成分である。またサイナリン(cynarin)はE. angustifoliaに特有な成分とされている7)

花言葉

『優しさ』『深い愛』『あなたの痛みを癒やします』

見ごろ

6~10月

北米原産の耐寒性の、根茎をもつ多年草。真夏から初秋にかけて舌状花と、円錐形の筒状花からなるキク状の花を咲かせる。属名はギリシア語の「ハリネズミ」を意味するechinosに由来し、花の中央の円錐体のトゲだらけの部分にちなんでつけられた。
薬用とされる3種のうち最も栽培が盛んなのはE. purpureaであり、研究も最も進んでいる。しかし3種は形態も成分も似ており(表1)、混同されることも多い4)

 
表1 エキナケア薬用種の形態の差異
E. purpurea草丈60~180cm。
卵型の葉をもち、2~4cmの舌状花で、黄色花粉をつける。
E. angustifolia草丈10~60cmで3種のうちでは最も小さい。
披針形の葉をもち、2~4cmの舌状花で、黄色花粉をつける。
E. pallida草丈30~100cmで披針形葉をつけ、3種のうち最も大きな4~9cmの舌状花で、白色花粉をつける。
 
~免疫システムに作用し身体の抵抗力を高めるハーブ~

 

 エキナケアは約400年もの間、アメリカ先住民の間で万能薬として利用されていた。当時の先住民は、エキナケアを特に歯痛、のどの痛み、風邪、伝染病などの治療に利用していたという。彼らの好んだ使用法は、その根を一日中なめることであったという。
 1870年代にネブラスカ州パウニー市の町医者H. C. Meyerは、先住民からエキナケアの有用性を学び、独自の製剤「Meyerの血液浄化剤」を使って治療を行っていた。彼は、それまでほとんど知られていなかったエキナケアを世に広めるために、自ら蛇毒に対する製剤の効果を大衆の面前で証明しようとした。その後、アメリカではエキナケアの注目が高まり、多くの医師がエキナケアを治療に使用するようになった。
 19世紀末、エキナケアはヨーロッパにも紹介され、栽培が始まった。戦後ドイツを中心に薬理研究が進められた結果、有効かつ安全な感染症の治療薬として認知された。免疫系を非特異的に刺激するため、体の防御機能が低下した場合にかかりやすい風邪や感染症、皮膚病治療や予防に、また傷の回復力を高めることに有効であると考えられている。現在、ヨーロッパ、特にドイツでは医薬品として流通しており、アメリカではハーブサプリメントの売上上位を占める地位を確立している。
 エキナケア種のうち薬用とされているのは3種類である。しかし、ドイツでは効果の認められた種と、さらにその使用部位も制限されている。E. purpureaの花卉の地上部、E. pallidaの根以外に認められていない。しかし一方、イギリスハーブ薬局方(BHP)ではE. angustifoliaの根を筆頭に収載するなど、各国で見解が異なる。いずれにせよヨーロッパでは安全で有効なハーブとして、広く日常的に用いられる点では一致している。

以下の項目は、その植物の期待される効果を示すものです。

作用

  • 免疫賦活作用
  • 抗菌作用
  • 抗ウイルス作用
  • 抗炎症作用
  • 抗酸化作用

生理活性機能

 エキナケアの有効成分や作用メカニズムは未だ解明されていない部分が多いが、最も有効と考えられているのが多糖である。 E. purpureaよりフコガラクトキシログルカン(fucogalactoxyloglucan)と酸性アラビノガラクタン(acidic arabinogalactan)が単離されている5) 6)
 これらの多糖は強力に好中球やマクロファージなどの食細胞を活性化し6)7)、またマクロファージからの免疫応答物質であるインターロイキン(IL-1)の産生を促進することが報告されている8)
これらの効果によりリステリア菌(Lysteria monocytogenes)やカンジダ菌(Candida albicans)による全身性感染症への疾患を防止する効果や9)10)、インフルエンザ、ヘルペス等の抗ウイルス作用も報告されている11)
 この他にE. angustifoliaのアルキルアミドには抗炎症作用が確認されている12)。カフェ酸類にはUV照射によるコラーゲンのダメージを防ぐ抗酸化作用が報告されている13)
 エキナケアはヨーロッパでは一般的なハーブであり、感染症や、皮膚疾患、風邪などに、薬剤や他のハーブと組み合わせて、抗生物質の量を減らす目的などに使用される。単独の製剤による臨床試験は意外に少ないが、風邪やインフルエンザに対する抵抗性を確認した報告がある。14)~24)

臨床試験

エキナケアはヨーロッパでは一般的なハーブであり、感染症や、皮膚疾患、風邪等に薬剤や他のハーブと組み合わせて、抗生物質の量を減らす目的などに使用される。最近では、風邪やインフルエンザに対する抵抗性を確認した報告が多く見られる14)~24)

 

○感冒初期症状改善と治癒期間短縮

感冒初期症状のある患者120人をエキナケア投与群とプラセボ投与群に分けて試験を行った。症状が進行したのは、エキナケア投与群では24人 (40%)、プラセボ投与群では36人 (60%)で、エキナケアが感冒初期症状改善効果を有することが示唆された。またこの実験において、感冒が進行した患者の完治までに要する時間を調べたところ、エキナケア投与群では4日、プラセボ投与群では8日で、エキナケアが治癒期間を短縮することが示唆された 18)

感冒初期症状のある成人男女80人を対象としたプラセボ対照ランダム化二重盲検試験が行われている。この結果、感冒完治までにエキナケア投与群では6日、プラセボ投与群では9日を要し、エキナケア投与により治癒期間が短縮することが示唆された 24)

 

○長期摂取による感冒症状の予防

健常者755人に対し、エキナケア抽出物 (800 mg/0.9 mL) またはプラセボを1日3回、4か月間投与し、感冒症状を比較するプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験が行われた。予防として1日にエキナケア抽出物0.9mLを3回投与し、感冒症状がひどい場合には0.9 mLを1日5回投与した。その結果、感冒の発症総数がプラセボ投与群では188例、エキナケア投与群では149例となった。また、再発の総数はプラセボ投与群で100例、エキナケア投与群では65例となり、エキナケア抽出物の長期摂取が感冒症状の予防につながることが示唆された 25)

推奨量

E. pallidaの根で1日に900 mg相当、またはE. purpureaの全草の搾汁液1日に6~9 ml相当 (COMMISSION E)

E. angustifoliaの根で1日に1 g相当 (BHP)

安全性

COMMISSION E:E. purpurea全草、E. pallida根がapproved herbとして収載されている。
ただし、結核、白血病、膠原病、多発性硬化症、AIDS、HIV感染、自己免疫疾患のような進行性疾患時、キク科の植物にアレルギーのある人、妊娠中は避けるべきとの提言がある。また、投与量によっては短期の発熱、吐き気、下痢が起こることがあるとの記載がある。
経口投与による試験でも安全性は高いとされている。高用量を静脈内に投与した場合にもマウス、ラットおよびヒトに対して無毒であることが明らかになっている1)2)

引用文献・ 参考文献

1)Lersh C.et al.,Cancer Invest10, 343-348 (1992)

2)Mengs U.et al.,Arzneim-Forsh. Drug. Res.41, 1076-1081 (1991)

3)R. Bauer et al.,ドイツ薬剤師新聞DAZ 134 Jahrg. Nr.2. 13. 1.1994, Prof. Dr. R. Bauer

4)R.Bauer.,Toxicology in vitro,11(5), 669 (1997)

5)Wagner H. et al.,Phytochemistry., 27 119 (1988)

6)Wagner H. et al.,>Phytochemistry., 26 1989 (1987)

7)Stimpl M. et al.,Infection and Immunity46 845 (1984)

8)Beuscher N. et al.,Planta Medica,55660 (1989)

9)Roester J. et al.,Int.J.Immnopharmacol. 13931 (1991)

10)Steimmuler C. et al.,Int.J. Immnopharmacol. 15 605 (1993)

11)Waker A. et al.,Planta Medica ,3389 (1978)

12)Barbara Muller-Jakic et al.,Planta Medica ,6037 (1994)

13)Facino R. M.et al.,Planta Medica ,61(6), 510 (1995)

14)Schoenberger D.et al.,Forum Immunol. ,8, 2(1992)

15)Brunig B.et al.,Zeitschrift Phytother ,13, 7(1992)

16)Scaglione F.et al.,Internal Journal of Immunotherapy,11(4),163(1995)

17)Brinkeborn R. M. et al.,Phytomedicine,6 1 (1999)

18)Hoheisel O. et al.,Eur. J. Clin. Res.,9, 261 (1997)

19)Schulten B. et al.,Phytomadicine,7, 31 (2000)

20)Berg A. et al.,J. of Clin. Res.,1, 367 (1998)

21)Brinkeborn R. M. et al.,Schweiz Zschr GanzheitsMedizin,10, 26 (1998)

22)Tan J. W. et al.,Proceedings of the Echinacea Symposium in Kansas City,June3-5 (1999)

23)Melchart D. et al.,Arch. Fam. Med.,7, 541 (1998)

24)Schulten B. et al.,Arzneim Forsch,51, 7, 563 (2001)

25) M. Jawad. et al.,Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine (2012)