Artichock
Cynara scolymus L.
キク科
チョウセンアザミ、Alcachofra、Glove artichoke
地中海沿岸
葉、根
■フラボノイド
luteolin-7-β-rutinoside(scolymoside)
luteolin-7-β-D-glucoside
luteolin-4-β-D-glucoside
■精油
β-selinene
caryophyllene
■トリテルペノイド
taraxasterol
β-taraxasterol
『傷つく心』『警告』『独立独歩』『傷つく恋』『そばにおいて』『孤独』『厳格』
6~7月
アーティチョークは、草丈1.2~2m、太い茎につく葉は大きく切れ込みが深く、裏に白毛を密生している。花は夏に咲き、紫色で複合頭花、直径は約15cmとなる。総包片は卵状楕円形で肉が厚く、苞葉も肉質である。葉からは灰色染料が採れる。
大きなアザミのような花をつけるため、その建造物的といえる全体の形とも合わせ、園芸用途で花壇のポイントとしても使われる。
アーティチョークは、近縁であるカルドン(Cynata cardunculus)と共に、ギリシャ・ローマ時代から栽培されてきた。イタリア料理に使われることで知られ、塩気と苦味があり、頭花を苞の開く前に摘み、ゆでてソースをかけたり、芯の部分を焼くか炒めて食べる。食用部分はわずかだが、ワインのつまみなどに最高の料理とされている。原産の地中海沿岸から、15世紀にはイタリアに知られ、16世紀にはフランスやドイツ、イギリスに渡った。現在の産地は、地中海沿岸、フランス南部、アメリカのカリフォルニア州などで、カリフォルニア州中部のCastrovilleは’アーティチョークの町’と呼ばれ、世界一(全米の99.6%)の栽培面積を持つ。日本では千葉県房総地方や神奈川県三浦地方でわずかに栽培されている。
サイナリン(cynarin)の発見により、肝機能保護作用のある薬用ハーブとして重要視されるようになった。葉と根の部分は肝機能の保護効果があり、ドイツでは消化器系強壮薬として認められている。
● 抗酸化と肝防御作用
tert-butyl hydroperoxide (t-BHP)に曝露した初代培養肝細胞を用いて、アーティチョークの抽出液とその成分の抗酸化と肝防御作用を調べた。培地にt-BHPを添加すると脂質過酸化が促進し、細胞毒性が強まるが、アーティチョーク水抽出液はその試験系で顕著な抗酸化と肝防御作用を示した4)。
また、ヒト白血球においてアーティチョーク抽出物は一般的な活性酸素種であるhydrogen peroxide、phorbol-12-myristate-13-acetate(PMA)、N-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine (FMLP)に対して濃度依存的に活性酸素阻害を示した5)。
図2 アーティチョーク抽出物の抗酸化作用と肝保護作用
● 抗肥満作用
アーティチョーク抽出エキスはオリーブオイル負荷マウスに対し、市販の高脂血症薬であるorlistatやclofibrateと同程度の強い血中中性脂質(TG)の上昇抑制作用を示した。6)。
〇 抗コレステロール作用
アーティチョークエキスの抗コレステロール作用について数多くの研究がなされ臨床も行われている7)。
Englischら8)は、18歳から70歳までの患者143人を対象に無作為な二重盲検を行った。その結果、アーティチョークエキス投与群は偽薬投与群よりも投与前と比較して有意にコレステロール値を減少させた。
〇 消化不良に対する効果
アーティチョークは古くから消化不良、食欲増進に使用されてきた。
246人のボランティアを無作為に2群に分け320mg×2づつアーティチョークエキスまたは、偽薬を投与した。試験は6週間にわたって行い、消化不良の兆候に対する総合的な変化を観察するとともに、the Nepean Dyspepsia Index(NDI)による生活の質(QOL)の変化を調べた。その結果、アーティチョークエキス投与群では、偽薬投与群に比較して有意に消化不良の兆候が緩和され、生活の質(QOL)が向上した9)。
図3 アーティチョークエキスの消化不良に対する効果
● 抗肥満作用
アーティチョーク抽出エキスはオリーブオイル負荷マウスに対し、市販の高脂血症薬であるorlistatやclofibrateと同程度の強い血中中性脂質(TG)の上昇抑制作用を示した。6)。
COMMISSION E:approved herbとして収載されている。
副作用は知られていない。
アーティチョーク含有成分のアレルギー保持者、胆管障害、胆石患者は、医師の相談が必要である。
LD50(ラット)・・・1000mg/kg(全抽出物)
265mg/kg(精製抽出物)1)
cynaropicrinや他のsesquiterpene lactonesが、アレルギー源になる可能性がある2)。
1)Lietti A.,Fitoterapia, 48, 153 (1977)
2)Meding B.,Contact Dermatitis, 9, 314 (1983)
3)内海修一.,野菜園芸技術, 23(11), 6 (1996)
4)R. Gebhardt and M. Fausel.,Toxicology in vitro,11(5), 669 (1997)
5)Perez-Garcia F, Adzet T, Canigueral S.,Free Radic Res., 33(5), 661(2000)
6)吉川ら、第44回天然有機化合物講演要旨集、349, (2002)
7)Pittler MH. et al.,Database Syst Rev.,(3):CD003335. Review.(2002)
8)Englisch W. et al.,Arzneimittelforschung.,2000,50(3), 260
9)Holtmann G. et al.,Pharmacol Ther. 2003,18(11-12), 1099